「こちらから見たら不適応行動でも、本人にとっては適応行動」というF先生の言葉がずっとリフレインしています。
ホント、そうなんですよねぇぇぇ。
何だかそう考えると
こうくんのしてる行動の全てが愛おしく思えて来ちゃうから、不思議です。
紙粘土どろどろとか
トイレの床水浸しとか
おもらししたので、パンツおろしたら、最後のしずく(?)を顔にかけられちゃったりとか
今日も
随分なことしてるんですけどもね(笑)
このところ、こうくんとの食事場面が楽しいです。
こうくん、おかわりは「これよこせ」とお皿やお椀を渡してくるし
「あの、じいちゃんのまぐろの刺身をもう一切れよこせ」と私やばあちゃんの手を取っていわゆるクレーンで器用に要求します。
昔のように自分で人のお皿に手を出しまくる、というような無礼はしなくなりました。
「クレーン」って自閉症児の親にとっては鬼門でして。
私達が子育てをしていた十数年前の本には、自閉症児の「特徴」として「クレーン現象」というのが必ず書いてありました。
クレーン=自閉症だと言われてしまうので、我が子がクレーンするのを何とかやめさせたい、見たくないと思った方も多いハズ。
めっちゃ重要な要求行動なのに、「クレーン」は忌み嫌われていたのです。
今でも、診断されたばかりの保護者の方はそうかもしれません。
「うちの子クレーンで要求するんです」に対し
「要求ができて素晴らしいですね」と言ってくれる専門家に出会うか
「ああ、自閉症だから仕方ないね~」と言う専門家に出会うかで
随分と母の気持ちはちがってきます。
子どもへの対応も180度ちがってしまうでしょう。
(そう言えば、小林先生がめっちゃ上手にクレーンを指さし行動に変容させる様子を見せて下さったことがあります。そういうのを教えてあげたらいいんですよね。)
こうくん、お腹がいっぱいになると
お椀を重ねて流しに運び
ランチョンマットを所定の場所に片づけ
「冷蔵庫あけて」のカードを持ってきます。
以前は
冷蔵庫に「チーズ」と「ゼリー」のカードを貼っていたのですが
対応チェックを丁寧にしたところ
カードを見分けていないことが判明したのでやめました。
もちろん、3D(立体)にして選ばせるという方法もありますが
こうくんにとってこの場面では「カードを渡す=冷蔵庫開けて」になっていることが明白だったので
カードの方をこうくんの行動が示す内容に合わせました。(←)
で、
カードを渡された母かばあちゃんがおもむろに冷蔵庫を開けますと
こうくん、思いっきりクレーンでお好みのデザートを要求します。(←)
この方法にしてわかったこと。
こうくんは、チーズが欲しい時もあるし
ゼリーが欲しい時もあるし
両方が欲しい時もあるし
たま~に入っているぶどうが欲しいときもあるし
別の袋に入っている何かが気になることもある。
でもって
チーズはプレーンよりスモークが好き。
という、とっても自然で当たり前なこと(劇爆)
でも
写真カードを貼っていた頃にはわからなかったことです。
「あ、また、ほしいのと違うじゃん」
とか
「え~、ホントにそっち?」
とか
「もう、多すぎ。あげない!!」
とか。
すまなかった、息子よ・・・。
好き勝手に行動するのではなく
行動が制御できている状態で
本人目線の適応行動をちょっと形を変えて活かす、
みたいな感じがこうくんと我が家には丁度いいんだと思います。
行動の制御って指示待ちって事じゃなくて
自立的に動けている上でってことで・・ね。
例えば、2年前はチーズを1日に20個とかカードで際限なく要求していて、それを制限するにはどうすればいいのか真剣に悩んでいました。
今は
チーズは食後。
しかも、食器を片づけたあと。
でも、クレーンで本当に欲しいものを確実に要求できる。
とても「平和」なやりとりが出来ている感じがします。
これまで、こうくんの新ネタ(動画)は年に1つくらいが精一杯だったのに
ここにきて一気に加速モード。
先月の松山講演では、実物スケジュールの新ネタを披露できましたし、来月の某通園施設での保護者勉強会あたりで、このネタが披露できるかもしれません。
7月のこうままの外でのお仕事は5つ。
蒲郡市のC小学校での現職研修
東海市のK学園保護者勉強会
新城市の授産施設Rでの職員研修
A養護学校職員向け講話
豊川市の事業所Pでの職員研修
この他、作成会が5回
支援者勉強会も7月はゆうが担当です。
暑い夏がきます。
体調整えて、その時に出来る精一杯のお仕事したいと思います。
この記事へのコメント
ちょめ
本人にとっては適応行動かあ。
う~ん・・深くて雰囲気しか私には分からん!
こうまま、自分の中でまとまったら又表現して下さい(他力本願)
こうまま
何か中途半端な状態で記事をエントリーしてしまって。
でも、書いておくと、後で思い出せるので。
何かね~
ようやく、こうくんと付き合うコツみたいなのがわかってきたって気がするのよ~。
一本釣り。
きらママ
作業所でも、きらはこの方法でみんなにたくさんのことをつたえています。
差し入れのクッキーのおかわりがほしい時は、くれそうな人の肩をトントン(ください)、または工房チーフの手をクレーンでクッキーに・・・
工房チーフは、きらのこの動作がかわいいらしく「ついつい、自分の分をあげちゃうんですよね。それがわかっているから、きらくんは私のところにすたすたくる。きらくんがほしい時、いらないときの行動がわかりやすくて助かります。」…このわかりやすい行動は、まさに、今のこう君の行動です。
☆ 行動の制御って指示待ちって事じゃなくて
自立的に動けている上でってことで・・ね。☆
うんだっす。
このバランスなんだな~って思います。
ジョー
>自立的に動けている上でってことで・・ね。
★この表現にすごく興味をひかれました。先日の父親向け就学相談会後の懇親会の時、僕がセイヤの受動傾向に対してネガティブな意見を述べたところ、「それって受動っていうよりも適応できてるってことだと思うよ」と、先生方に言われました。今回のこうままさんの表現につながっているような気もするし、別物なのか、、、。こういうのって、なんとなくは分かっているつもりなんですけど、状況によって本人の反応が違うこともあったりで、やっぱ難しい部分もあります。
KEYKEYまま
以心伝心と思っていたこの子達が、やっと「相手に伝えなきゃ」と気づいて、始めた行動がクレーンのような気がしてます。
家もマリオネット友の会の会員ですが、クレーンとマリオネットって同じだと思いませんか?一般の人が「ことば」を間にしてコミュニケーションをするように、私と子どもは相手の手をとることによって自分の考えを伝え合う。「手」がお互いのコミュニケーション手段。
マリオネットも「私はこうしてほしいんだよ」「これはこうするものだよ」と手で子どもに伝えているんですよね?
ウチでは「どうしたいの?」と聞きながら、私の手に子どもの手を添えさせたり、「どれ?」と聞きながら指差しの形にした手を差し出すと、彼が私の手を使って指差ししたり、積極的に活用してます。
支援グッズの一番根底にあるのは「あなたの思っていることが、わかりたいんだよ」という気持ちだと勝手に思っているのですが・・・。「自閉症」という枠にもはまってくれないお子様ですから、支援の形にはこだわらず、伝わる喜び!を大事に生活していきたいです。
mio
ホントにホントにとてもよく似てるので
こうくんとやり取り場面がよくわかります。
クレーンはたぁさまにとっても大事な
意思を伝えるワザの一つ。
やっぱ食べ物要求の時に多用されてます。
彼も必死ですから(笑)
うちも人の皿から手掴みで持っていっちゃうってことがなくなりましたねぇ
目で「許可してよ」と訴えたり
クレーンで伝えたり・・・
で「どれが欲しいの?」とお箸を1本渡すと
的確に欲しいものをさしております。
指さしはしないけど箸さしは出来るようです(爆)
(自分のスプーンやフォークではなぜかささない)
まあ、お行儀のよくないことなので
一般的から見てどうかな?と思うところもありますが
これも適応行動でしょうかね~?(笑)
クローバー
ですよね。
なんでカードだとよくてクレーンだとだめ。という風になるのかなあ。。
そういう風なのもおかしいですよね。
カードやVOCAとかが本人のコミュニケーションの手段として有効ならば
クレーンだってコミュニケーションの手法として立派に役にたってると思います。
かあこ
うちもクレーンが主ですが、ごさまとやり取りするのにクレーンがでてきたときはめっちゃ嬉しかったです。
平和なやりとり♪本当にそう思います。
ルナルナ
私も自閉さんなので「ああ、何かが欲しいんだねぇ。でもとっさに『&%ください』って言葉がでてくれないんだよなぁ」という気持ちで見ています。
いい大人の私でも未だに「クレーン」になってしまうことありますもん(自慢になるかいっ!!)。子供の頃、実母に「あれとって」と言ったら「あれじゃわからん!!」って叱られて。。。「聾唖者に産んでいないんだから、言葉で言いなさい!!」と。クレーンはそのときの名残というか何というか。。。
そういった経験をしているので、長男にはクレーンでも「自分の意思を伝える事ができる」ことを大切にしたいと思っています。
もちろん言葉で言ってくれたらありがたいけれど、長男や私を含む自閉症児者は「そういう回路」が生まれつき備わってないからそうもいかないんですよね。
こうままさん、ありがとうございますm(__)m
こうまま
身に付くまでちょっとメンドウでも、かえってラクになるってことを、ようやく実感できてるこのごろです。
◇きらママ師匠
支援者にとってわかりやすく行動できるって、やっぱり必要なことだと思います。
加えて、こうくんは甘えた笑顔がめっちゃカワイイので◎なのです(爆)
◇ジョーさん
うん。すごくわかる。
私、この件に関してはようやく自分の中で整理できたので、機会があったらお話しましょう~。
多分、ジョーさんに納得してもらえるような話ができると思います。(私にしては珍しく自信アリ)
ちなみに、私も常にこうくんのプロンプト依存傾向に目を光らせています。
◇KEYKEYままさん
マリオネット友の会ご入会ありがとうございます(笑)
伝わる喜び・・まさにそうですね。
私も、形に囚われない気持ちのいいやりとりを目指してます。
◇mioちゃん
おお~、友よ~、同志よ~。
>指さしはしないけど箸さしは出来るようです
ぶはははは・・・・。
たぁ様ってば、ステキ。
会いたいよ~~~~。
◇クローバーさん
はい。
ハードではなく、ソフト重視ってことで。
形ではなく、中身ですよね。
◇かあこちゃん
一昔前のお話ですよ~。
今の時代でよかったね♪
◇ルナルナさん
私も言葉より行動が先にいってしまうことが良くあります。
脳がそういう回路なんですよね~。
Rosamonde
第2言語以降の言葉を使うと思いっきり疲れます。最大級のストレスになってしまうことも多々。
第1言語は自閉さん語なんだからなぁ~と思うことが。
今日も無言でダンナにこき使う可能性はありますね(大爆笑)。※ただし、時間が合えばの話。
こうまま
なるほど。
とてもよくわかります。
そうなんでしょうねぇぇぇぇ。
ちま
言語聴覚士さんや発達心理士の先生に今の要求はクレーンですね~
そう言われる度に嫌な気分になっていました。
そうですよ~!愛息は自閉症ですからね~!!と。
ですからクレーンをされると眉間にしわを寄せて、カードを持たせたり、ジェスチャーさせたり…
何と浅はかな親なのでしょう~、、
彼にとって最高の要求のしているのに…
気付かせていただいて感謝&感謝です!!(涙)
これからも参考にさせていただきますので
是非頑張ってください♪
こうまま
はじめまして。
コメントありがとうございます。
>そう言われる度に嫌な気分になっていました。
わかります。
その通りだと思います。
ルナルナさんやRosaさん(お二人とも自閉症ご本人です)の言葉でわかるように
クレーンはちまさんのお子さんにとっての「第一言語」なのだと思います。
クレーンを他の人にもわかりやすい形に変更できて、それが本人のストレスにならなかったら(つまり、より便利だと感じることが出来たら)いいと思いますが、そうじゃない場合もあるってことだと思います。
ちなみに、こうくんは必死に指さしに変更しようと試みた時期がありますが、クレーンをせずに実力行使に出たので、エライメに遭いました。