読んだ!!

lessorさんが「圧巻の障害児の親研究の本」と評価されてた本をやっと読み切りました。

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「障害のある乳幼児と母親達」その変容のプロセス
一瀬早百合・生活書院

著者が学位取得のために書いた博士論文を基にして書いた「研究書」なので、その類の書籍に慣れていない方にはお薦めしませんが
普段、障害のある小さいお子さんと親御さんの対応をしているけれど
親御さんのお話しがなかなか聞けていないな~
と思っていらっしゃる支援者の方にとっては
親の『結構本音に近い言葉』が載っていると言う点で
4章だけでも読む価値アリだと思います。

慣れない研究書なのに、私が読もうと思ったのは
これまでの「障害受容論」に対して「そんなんできないし!」「全然違うし!」と言ってきた私ですが
「変容プロセス」という表現に「そう。それは確かにあるのよ!!」と、『これはもしかしてスゴイかもフラグ』が立ったからです。

こうくんに障害があるとわかって13年。
障害受容はしてませんが気持ちはいっぱい変容してます。
そして
ここ7年ほど、母向け学習会や茶話会を開催してきて
変容のプロセスは1人1人違うことを体感しています。

だから。
著者が変容プロセスを4つのストーリーに分けて整理している事に関しては
「もっと微妙なのよ。そんな単純に分けないで欲しいし~」と思ったりもするし
自分が「精神運動発達遅滞・自閉症合併」というカテゴリーでひとくくりにされている事に対しては
「みんな違うんだから、そんなカンタンにひとくくりにしないで欲しいし~」みたいな不快感もありました。

だいたい
「研究対象」になるのって、不快なことです。

でも
この本は、コレまでのように、「障害のある子どもをもつ親たちはこんな風に障害を受容していく」みたいなのとは全く次元の違う内容になっています。
著者自身、著者の整理した4つのストーリーがこれまでの障害受容論の様にこの先ステレオタイプに語られていくかもしれない可能性は感じていらっしゃいますが、それでも、様々な障害の様々な家庭環境の親たちの話を丁寧に聞いて分析している点で、これまでの「親研究」とは一線を画している気がします。

慣れない研究書なのに、私が途中で投げ出さずに最後まで読み通すことが出来たのは
著者が「自分の名前を呼ばれても反応しない子どもの親たちに緊張が走る瞬間」を見逃さない方であったという、そのただ一点にあったかもしれません。
そんな単純な理由で「この人がどう結論づけるのか知りたい」と思う私は、相当にナイーヴだなと笑っちゃうわけですが。

親なんてね、そんなモンです。はい。

著者はおそらく「親は支援者にそうそう本音は話さないもの」ということを知っていると思います。
その上で、親御さんに丁寧に寄り添っています。

好感が持てたから最後まで頑張って読んだ。
そんな感じです。

家族支援をされている方にはとても参考になる本だと思います。

ちなみに。
「研究書」なので、支援方法などは書いてありません。あしからず、ご了承くださいませ。

この記事へのコメント

  • はるかか

    難しそうで、私にはなかなか読めないかも…と思いましたが、受容と変容の言葉に反応しました!

    子どもが診断を受けてから、子どものことを知りたくて沢山の本を読んだし、勉強会にもいっぱい参加しました。
    でも、時々全部放り投げてしまいたくなります。ソレはきっと「ダメな母」というレッテルを自分に貼って、落ち込むのだと思います。
    心の中ではいっぱい理解してきたつもりなのに…。

    先日の勉強会でこうままさんが「私だって受け止めれないことなんて今でもあるよ!」と言った言葉にすごく安心しました。
    高校生を育てる母でもそう思うんだ~!って。

    毎年毎年、いろんなことが起きては悩んで落ち込んで…いつまでこんなことをしているんだろう?情けない母だな。
    なんて思わなくてもいいんだ!

    ぶち当たって落ち込んで、また立ち上がって淡々と実行するのみ! ですね。

    ちなみに…私はニキ・リンコさんの「俺ルール」を本屋で立ち読みして大笑いしてしまった!
    2012年09月30日 21:18
  • こうまま

    ◇はるかかさん
    そうでしょ、そうでしょ!
    「変容」って言葉に私も思いっきり反応しちゃいました。

    み~んな悩んでおっきくなった~♪

    って感じですよね。

    ちなみに
    私はニキさんの「モンダイな想像力」がツボでした。
    2012年09月30日 23:06

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