ゆったりと店内を周り
好きなお菓子を3つほどカゴに入れたあと
母が持っていたアサヒ黒ビールと柿ピーも
「ほれ、よこせ」
と言わんばかりにつかんでカゴに入れる。
レジ前で
陳列棚の揚げたてポテトとチキンに顔を近づけて
よ~~~く吟味して
「かりかりチキン」を指でトントン。
この透明の陳列棚は本当に有り難い。
「うん。わかった。これね?」
と私がこうくんの手を触って陳列棚のアクリル板を触らせて確認。
その瞬間
いや、ちがう。
やっぱ、こっちにする。
と、手が隣の薄塩チキンになる。
どこが違うんじゃ~
わからん
まぁ、いい。
「うすしおチキン下さい」と母が言うと
店員の手元を穴が空くほど見つめるこうくん。
自分が欲しいモノがちゃんと袋に入るのかを確認している。
すごいねぇぇぇ~~~~。
そして、袋に入れられたチキンをひったくるようにゲット。
レジで他の商品を清算中もこうくんからの指示が飛ぶ。
「それはオレの袋に入れやがれ」
「それは、ちがう袋に入れたやがれ」
こうくんの指示に従って私が通訳する。
「すみません。袋分けて下さい」
「これはこっちに。これはこっちに」
こうくんは、荷物を運ぶのは自分の仕事だと思っているので
精算が済むと、二つのレジ袋を持って車へ。
で、後部座席に座った瞬間
自分の買った商品は隣に置いて
どうでもいい商品(私のビールとおつまみ)をさくっと運転席に。
自分のものと他人ものがしっかり分かってるんだな~。
その昔
どうやったら、自分のご飯と人のご飯の区別が付くのかと悩みました。
ランチョンマットや段ボールパーテーションを使って区別することを教えました。
そうやって積み重ねて
今は自分のモノと他人のモノを自分から分けています。
すごいなぁと思います。
発語のない最重度の知的障害のある自閉症児ですが
自他の区別を教える事ができました。
まとまりのないぐちゃぐちゃな混沌とした世界にいる自閉症の子どもたちに
世の中の秩序を教えるのは親の役目だと思います。
「さようなら」とか「ありがとう」とか「ごめんなさい」という言葉を教える前に
まずは「これちょうだい」という手段を教えて欲しいと切に願います。
この記事へのコメント
サポ母
この記事に書かれている大切な事、私はこうままさんとREIKOさんから教わった気がします。そこに家族の幸せがあますよね♪
ただ大切なのは『言葉じゃない』んだけど…これも戦闘服の件と同じで(苦笑)どんな立場の人がどの時期のママにどんな風に伝えるのかで響き方も違います。
障害児の親同士でも話せる子の親が言おうものなら「お宅のお子さんとうちは違うのよ。話せない子の親のキモチなんてどうせわかんないのよ」てなりやすいのが親のホンネですよね…だから身近な親同士だからこそ言えない事もありますよね。
でも、今月の会報でとよっちさんが上手に記事に書かれていましたよね!
『言葉を無理に話させるより、人との関わりが楽しいことや、周りの状況を確認する習慣を身に付けることに時間を使った方が、より豊かな言葉を扱える子どもになります。素敵な花が咲くのです』記事にとても共感できました!!これからも、ゆうは大切なメッセージを発信して下さる事と期待しております。
こうまま
そうなんですよね。
時期もあるし、状況もあるし、伝え方もある。
私は言葉のない子の母なので、だからこそ言えることもあるし、だからこそ、言えない事もある。
そして、実はサポ母さんの引用されたとよっちの文にこうくんの母としては素直に共感はできなかったけど、職責上はokを出した・・という感じなのです。
だって、どんだけ頑張って人との関わり育んで、環境整えたって、こうくんは「言葉」を扱えるようにはならないし。
なので、「言葉」っていうより「コミュニケーション手段」っていう方がいいなぁ~って思ってます。